研究内容

昆虫学 − 研究内容

私たちの身の回りにはたくさんの昆虫が暮らしています。横須賀市や三浦半島には、海岸や丘陵、谷戸といった地形に、住宅街や公園、林、畑などの土地利用が組み合わさり、さらにそうした場所で、様々な種の花や葉、地面や石の下などへ視点を移すことで、多様な環境下に暮らす多様な昆虫たちを見つけることができます。
 一方、季節や地球規模の気候変動の影響、土地利用の変更などによる環境の変化もまた、見つけることができる昆虫を、季節ごと、あるいは年を追って多様に変化させています。
 博物館昆虫分野では、こうした昆虫の多様性やその変化を明らかにするため、現在3つのテーマで研究活動を行っています。

(昆虫学担当:内舩俊樹)

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三浦半島の昆虫相

横須賀市を中心とした三浦半島の様々な昆虫について、生息の実態に迫る調査を行っています。

ベニシジミ

ベニシジミ

クロウリハムシ

クロウリハムシ

アサヒナカワトンボ

アサヒナカワトンボ

ゲンジボタルの飛翔発光

ゲンジボタルの飛翔発光

スズメバチ調査トラップ

スズメバチ調査トラップ

天神島でのライトトラップ

天神島でのライトトラップ

三浦半島カブトムシ調査

三浦半島でも数多く生息するとともに学校や公園、家などで飼育されることもあるカブトムシはとても身近な昆虫の一つです。しかし、カブトムシがどこへ、どのように移動するのか、その生態はよく分かっていません。
 そこで、三方を海に囲まれた三浦半島でカブトムシの移動を調べる調査を行っています。

幹を歩くカブトムシ

幹を歩くカブトムシ

ラベルをつけて飛ぶカブトムシ

ラベルをつけて飛ぶカブトムシ

日本産ガロアムシ類の分類学的研究

三浦半島を取り巻く自然について理解を深めるため、地中生活をする捕食性昆虫ガロアムシ類をターゲットとし、資料収集と調査研究を進めています。

ヒメガロアムシのメス

ヒメガロアムシのメス

どんな

どんな虫?

成虫の体長は2~3センチメートルで茶色い(茶色~こげ茶色)体、前方の触角と後方の尾毛(びもう)が目をひく昆虫で、オス/メスともに翅がありません。幼虫は白っぽい(白色~クリーム色)体をしています。
 比較的自然度の高い山林の地下に生息し、他の昆虫などを襲ったり死がいを食べたりします。たまに地表を歩き回る姿が観察されたり、洞窟の中で見つかったりすることがあります。
 昆虫類の中では多新翅(たしんし)類(バッタ類に比較的近い昆虫の仲間)の代表的な一群で、1億年以上もの間、翅以外の体の特徴がほとんど変わっていない「生きている化石」と呼ばれ、多新翅類に属する昆虫たちの進化を明らかにする上でカギを握る分類群の一つです。

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分布や生息地は?

分類や生息地は?

ガロアムシ類は世界的な分布は主に北半球の環太平洋地域で、中央アジアの辺りでも見つかっています。山地や洞窟などの地中~地表にひっそりと生息し、日本では当博物館のある神奈川県内をはじめ9割以上の都道府県でその分布が確認されていますが、上記のような生態ゆえ、あまり知られていない昆虫です。
 しかし、ガロアムシ類は、約30年前に環境庁(当時)が行った全国環境調査において「環境指標昆虫」にリストアップされるなど、自然環境と絡めて注目されています。これに加え、捕食者的な地位にあり、その生息がより下位の生物群集の豊富さを示す生物である点も、ガロアムシ類の重要さとして挙げられます。
 日本産のガロアムシ類は6種が記録されていますが、これらの種同士の違いや日本におけるすみ分けの実態はまだはっきりと分かっていません。

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博物館での研究内容は?

博物館での研究内容は?

1. 全国的な分布状況の把握と多様性の検討<分類学>
2. 種分化と起源について検討<生物地理学>
3. より有効な分類技術(分類形質)の発見<形態学>
4. 生息データの環境へのフィードバック<環境科学>

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