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学芸員の柴田がアンモナイトに関する論文を発表しました

2025.10.13

 学芸員の柴田と松川正樹東京学芸大学名誉教授による、アンモナイトについての論文が出版されました。この研究は、岩手県の陸中海岸の前期白亜紀の地層から産出するアンモナイトを対象に行われ、その成果は中生代の専門誌である『Mesozoic』(英文)に2025年9月30日付けで掲載されました。この中で、柴田学芸員はアンモナイト化石を産出する地層、下部白亜系宮古層群についての調査と執筆を担当しました。

 

論文の概要

 この研究は、宮古層群から産出する39属58種のアンモナイト化石を記載しました。これらには、1新属と9新種が含まれます。

 これまでに記載されている標本と合わせると、宮古層群から産出するアンモナイトは49属92種、909標本となり、これらは3つのアンモナイト化石帯に区分されます。これらの3つの化石帯は、地中海区の白亜紀バレミアン~アルビアン (1億2,570万年~1億50万年前) におけるアンモナイト標準化石帯と対比できます。また、この比較に基づき宮古層群に含まれるアプチアン/アルビアン境界 (1億1,300万年前) の位置が特定されました。この研究により、アンモナイト化石を用いて、これまで以上に北太平洋地域の前期白亜紀の地層の年代を詳しく明らかにできるようになりました。

 

研究されたアンモナイトの1つ、パラケロニセラス・レジーナ.

 

発表論文

Matsukawa M. and Shibata K. 2025. Aptian–Albian (Lower Cretaceous) ammonite biostratigraphy of the Miyako Group, Japan based on supplementary and revised ammonite taxa. Mesozoic, 2(3): 175–286.

 

こちらのリンクから論文を閲覧・ダウンロードできます(オープンアクセス)。

https://www.mapress.com/mz/article/view/mesozoic.2.3.1