学芸員の中島が新種のシャコを発見しました!
中島学芸員(海洋生物学担当)と琉球大学による研究グループがシャコの新種を発見・記載した論文が出版されました。この成果は日本動物分類学会の英文誌『Species Diversity』に2025年9月25日付で掲載されました。
■学芸員解説
私は甲殻類のシャコの仲間(口脚目)について分類学的研究を行ってきました。今回の研究対象はシマトラフヒメシャコBigelowina phalangiumという、ヒメシャコ科に属する全長10 cm以下のシャコです。この種はインド洋からオーストラリア、日本にかけての広い海域に生息すると考えられていました。しかし、国内各地のフィールド調査で得た標本や博物館収蔵標本の調査を実施し、外部形態やミトコンドリアDNAの部分配列を比較検討したところ、琉球列島に生息するものはシマトラフヒメシャコに同定できた一方で、九州・四国・本州に分布している種は未記載種(学名のついていない種)であることが分かりました。
本研究では、九州から本州にかけて分布しているこの種を新種、ニッポンシマトラフヒメシャコBigelowina komaiiとして記載しました。ニッポンシマトラフヒメシャコは主に九州や、四国の瀬戸内海沿岸の前浜干潟に生息していますが、実は神奈川県逗子市からも、私が2019年に1個体だけ発見していて、本論文中で報告しています。今後もこの種の分布域に注目していきたいと考えています。(中島)
■論文情報
Nakajima H., Naruse T. 2025. Description of a New Littoral Mantis Shrimp Species of the Genus Bigelowina (Crustacea: Stomatopoda: Nannosquillidae) from Japan, With a Note on the Identity of a Congeneric Species from the Ryukyu Islands. Species Diversity, 30: 213–224.
こちらのリンクから論文を閲覧・ダウンロードできます。
https://doi.org/10.12782/specdiv.30.213