学芸員自然と歴史のたより「燻蒸(くんじょう)ってなに?」

 梅雨本番の今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか?梅雨はジメジメするし、雨が降ると外で遊べないし、おまけに害虫が湧いてくるし、あまり楽しいことがない季節です。それは、博物館にとっても同じことが言えます。なにも学芸員が外に遊びに行けないわけではなく(フィールドワークに行きにくくはなりますが)、博物館のなかもみなさんの家と同じく害虫やカビが発生しやすくなるからです。例えばみなさんの家で、ゴキブリが出たときどのように対処するでしょうか?といっても、物理的に叩くか、スプレー攻撃か、見なかったことに…、のどれかしかないでしょう。

 そもそも、ゴキブリやムカデ、シロアリだけでなく、チャタテムシというとても小さな虫やシバンムシという2~3mmの虫、カビなどはみなさんの家でも博物館でも有害なものです。ただし博物館では、大切な資料(古文書・民具・はく製・標本類など)を食べられたり汚されたりすることが一番の被害です。みなさんの家では食べ物に虫やカビが付いたら新しい食材を買いなおせばよいですが、博物館ではそうはいきません。博物館の大切な資料は唯一無二のものと言っても過言ではなく、替えが効きません。

 もし博物館で害虫を見つけたら、スリッパや新聞紙で叩いたり、殺虫スプレーを持って追いかけたりすればよいのでしょうか?資料にカビがついていたら、ウェットティッシュで拭けばよいのでしょうか?もうお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、そもそも虫やカビを繁殖・増殖させてはならないのです。そのために、博物館では燻蒸といって6月下旬の虫やカビが大量発生しはじめる時期に、成虫だけでなく卵やサナギも対象にし、虫にもカビにも効く薬剤を使用し、それらを一度ゼロにします。もちろん、ここで使用する薬剤にも気を使います。虫もカビも排除できたけど、薬剤の成分で資料も傷ついてしまった…では元も子もありません。そこで、(公財)文化財虫菌害研究所が認定した殺菌殺虫薬剤を使用します。建物すべてに使用することはできませんが、虫菌害にあいやすい資料室に殺菌殺虫燻蒸剤を投薬します(殺虫剤を噴霧する展示室や資料室もあります)。

 燻蒸後は、高温多湿にならないよう空調や除湿機を稼働させて展示室・資料室の環境を整え、虫やカビが繁殖・増殖しないようにしています。(民俗学担当:瀬川)

 

文化財収蔵庫の燻蒸

 

燻蒸で用いる薬剤

 

 

2階展示室「古民家」の燻蒸の様子

 

 

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