学芸員自然と歴史のたより「シダ・コケを中心としたテラリウムを設置しました」

 2018年2月14日、馬堀自然教育園と博物館本館にそれぞれ水槽展示が設置されました。設置されたのは「テラリウム」という形式のもので、水槽内に陸上の生物が飼育・鑑賞できる環境を作ったものです。馬堀自然教育園では一つの水槽内に水生の生物の環境と組み合わせた「アクアテラリウム」(写真1)を、博物館本館ではコケを中心とした「苔(コケ)テラリウム」(写真2)を、それぞれ設置しました(※)。

 博物館付属の馬堀自然教育園は1959年に開園し、もうすぐ60周年を迎えようとしています。全体的にマテバシイを中心とした林に覆われていることと、園内に湧水地があることから、日陰や湿り気の多い環境を好む生物が多くみられます。

 日陰や湿り気の多い環境を代表する植物には、みなさんもご存じのシダやコケがあります。これらの植物学的な説明は植物担当の山本学芸員に譲りますが、同学芸員によれば、馬堀自然教育園内のシダ類はこれまでに約30種が確認されており、コケ類について2017年夏と2018年3月に行った調査で約20種を確認したとのことです。馬堀自然教育園は様々なシダやコケをじっくりと観察するのに適している施設であり、これらの植物は同園の魅力の一つでもあるのです。

 馬堀自然教育園の魅力の一つであるシダやコケをはじめとする日陰や湿り気の多い環境を代表する植物を水槽に集め、同園の魅力を分かりやすく発信するための試みとしてテラリウムを設置することにしました。馬堀自然教育園の園路沿いから様々な植物を採集して水槽に移植するとともに、同園がホタル類の生息する水辺もあることから、アクアテラリウムにして下の池からヌマエビ類やメダカを移動しました。博物館本館では馬堀自然教育園のPRのため、ミニチュア版のテラリウムとして小さな苔テラリウムを飾りました。

 馬堀自然教育園の魅力の一つが詰まったアクアテラリウムは、馬堀自然教育園の学習棟にあります。季節によって元気に生育する植物が変わったりするので、ときどき見に来ていただけましたら幸いです。本館では自然館2階の受付カウンターにあります。お立ち寄りの際にはぜひご覧ください。

(※ 全国科学博物館活動等助成事業[平成29年度]による交付金で制作しました)

(昆虫・陸上無脊椎動物担当:内舩)

 

写真1 馬堀自然教育園のアクアテラリウム

写真2  博物館本館の苔テラリウム

 

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