学芸員自然と歴史のたより「ハイネが描いた「犬」」

 ことしは戌(いぬ)年なので、「犬」にまつわる話しをひとつ。
 1854年春、日米和親条約を締結するために、当時の横浜村の海岸に設けられた建物。この歴史的瞬間を描いた画家ハイネのいわゆる「ペリー艦隊横浜応接所へ上陸の図」には、2匹の犬が登場します。厳粛な儀式の場所に犬が紛れ込んでは、警備の大名たちも真っ青になったでしょうが、実際にはこんな混乱はありませんでした。穿って考えるとハイネは、絵の中に動きを入れようとしたのでしょう。同じ頃、日本の浮世絵にも犬を描いた作者もいましたから、西洋も同じ発想でしょう。
 ちなみに、この絵はよく描かれていますが、事実と異なる部分もあります。(文献史学担当:安池)

 

 

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