学芸員自然と歴史のたより「孫悟空(ソンゴクウ)ではありません!」

 ショウゴク(ショウゴォクゥ)という言葉を知っていますか?漢字にすると正五九となり、正月・5月・9月のことです。一般的には、その月に結婚式や引越しをしない方がよいとか、神社仏閣に参拝するのがよいとされています。

 では、三浦半島ではどうでしょうか?もちろん一般的な習わしもありますが、各地域に特徴的なものもあるようです。例えば、津久井のある地域では、正月・5月・9月の各24日に厄神様(やくじんさま)とよばれる行事があります。どのような行事かというと、その日の夕方、ホラ貝の合図と同時に道端で赤飯の握り飯を配ります。なぜ道行く人々に赤飯の握り飯を配るようになったかについての言い伝えは残っていません。しかし、厄神様という呼びかたからすれば、疫病や災いをもたらす悪い神様を追い出したり、無害なものにしたりするための行事だと考えられます。例えば、道行く人々が赤飯を食べることで生命力を回復し災いに負けないという考え方があります。または、道行く人々を悪い神様に見立てて、赤飯をあげ喜ばせて無害化するという考え方もあります。福島県のいわき地方では、悪い神様は赤飯が好きなので、村の端に赤飯の握り飯を供えて村から出て行ってもらおうという風習もあったようです。津久井以外の地域でも、神社にお参りに行ったり、お札をもらったりすることがあるようです。佐島では5月はショウブ月(端午の節句のこと)なので船を新造しないとか、正五九にはいろいろな慣わしがあるようです。

 正月・5月・9月は、行事が多かったり季節の変わり目だったりして疲れやすい時期でもあります。健康には気をつけましょう!という昔の人々からのメッセージと受け止めるのがよいかもしれません。(民俗学担当:瀬川)

 

厄神様の行事でほら貝を吹いているところ

 

 

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