学芸員自然と歴史のたより「恐竜の化石レプリカを見に行こう!」

 当館では7月15日(土)より企画展示「実物のない展示会~自然科学と二次資料~」を開催します。実物の資料を一時資料、実物の複製や実物の記録を二次資料といいます。今回の展示ではレプリカや模型といった二次資料をたくさん展示しますが、その中から肉食恐竜コエロフィシスの化石レプリカについてご紹介しましょう。

 コエロフィシスは三畳紀後期(約2億1,000万年前)のアメリカに生息していた初期の肉食恐竜で、体長は3mほどでした。三畳紀後期はまだ恐竜の種類が少なかった時代で、コエロフィシスの化石が見つかる地層からは、恐竜以外の動物の化石がたくさん見つかります。

 コエロフィシスは1889年に有名な古生物学者エドワード・ドリンカー・コープによって名づけられました。1947年にはニューメキシコ州ゴーストランチで1,000体以上のコエロフィシスの化石が見つかり、有名な恐竜の1つとなりました。ゴーストランチで見つかった化石のうち、アメリカ自然史博物館に収蔵され、登録番号AMNH7224とされた化石は特に保存がよく、模式標本(ネオタイプ)とされています。

 コエロフィシスのお腹には、幼体のコエロフィシスと思われる化石が見られることから、共食いをしたと考えられてきました。AMNH7224のお腹周辺にも小さな個体の化石が見られます。しかし、近年はお腹の化石は実はワニ類の化石であったとか、成体と幼体が重なって化石になっただけとか、いろいろな説があるようです。

 三畳紀後期の地層からは、ほっそりとした3本指を持つグララターという足跡化石がたくさん見つかります。これらの足跡化石はコエロフィシスのような小型の肉食恐竜が残したものと考えられています。

 今回の企画展示では、コエロフィシス(AMNH7224)や、足跡化石グララターの化石レプリカを展示しますので、ぜひご覧ください。(地球科学担当:柴田)

コエロフィシス(AMNH7224のレプリカ)

コエロフィシスの化石がたくさんみつかったニューメキシコ州ゴーストランチの化石産地

 

 

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