学芸員自然と歴史のたより「博物館のナツミカン」

 博物館本館1階の入り口のまわりには様々な植物が植栽されています。そのなかでも橙色の立派な実をつけたナツミカンの木は目立つ存在です。春には白色の綺麗な花が咲き、初夏には小さな緑色の実がみられます。今見られる橙色のナツミカンの実は、昨年の春に咲いた花が結実してできたものであり、昨年の秋からずっと木についています。では、なぜ“夏”ミカンと言うのでしょうか。これは酸味が強いナツミカンの実が夏に比較的甘くなって食べごろになることからきています。このことが知られる前は、ナツミカンは食用に適さないとされており、ほとんど食べられていなかったようです。

 これからの季節は博物館まわりのハマオモトやハマボウの花も咲き始めます。博物館にいらした際には、ぜひ周囲の植物もお楽しみください。(植物学担当 山本)

 

ナツミカンの木

 

 

追伸:先日、博物館のナツミカンの実のさく葉(おしば)標本を作成しました。ナツミカンのような立体的で水分を多く含む実を植物標本にすることはなかなか大変です。自然の姿を残すため、ナツミカンの果実を枝についたままの状態で薄く切り、熱をかけず吸水紙にはさんで乾燥させました。完成した標本は横須賀美術館の企画展「自然と美術の標本展」(7月2日~ 8月21日)で展示予定です。

ナツミカンの標本

 

 

参考: 門屋一臣1989. ナツミカン. 相賀徹夫(編)園芸植物植物大事典(4)小学館 p.535

 

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