当博物館の萩原学芸員が2009年に奄美大島で採集し、博物館の収蔵資料として登録・保存されていたヨウジウオ科魚類の標本が、鹿児島大学との共同研究によって日本を含む北西太平洋からの初記録となるアマクサヨウジ属の一種(学名:Festucalex wassi Dawson, 1977)であることが明らかになりました。本種は、これまでインドネシアのイリアンジャヤ(ニューギニア島西部)、フィジー、ニューカレドニア、サモアといった南西太平洋熱帯海域でのみ見つかっていて、今回の発見は、北西太平洋および日本からの初記録であり、本種の分布北限記録となりました。日本初記録の本種には和名がないため、既知の同属で温帯性種のアマクサヨウジF. amakusensis (Tomiyama, 1972) より南に分布することにちなんで、「ミナミアマクサヨウジ」という標準和名がつけられました。
この研究報告については、オンライン学術誌「Ichthy」誌上で8月に発表されました。
ミナミアマクサヨウジ(YCM-P44299),A,側面;B,背面;C,頭部拡大(幸ほか,2024より転載)
2024年9月12日掲載