学芸員自然と歴史のたより「休館中の展示の修復と製作」

前回、民俗学担当の瀬川学芸員がお知らせしたように、当博物館は新型コロナウィルスの感染拡大予防の観点から3月4日以降、休館が続いていますが、学芸員の仕事がなくなったわけではありません。
博物館が休館となったことで、展示の観覧に影響なく展示物の修復作業が行えます。そこで、この機を利用して40年以上の長期にわたる展示によって劣化した「発光生物」の展示の修復作業を行っています。「発光生物」の展示の特徴は、蛍光塗料とブラックライト(紫外線)の使用によって発光のようすを再現した模型と絵画ですが、紫外線は展示物を劣化させる特性をもっていて、塗装のはがれ落ちを生じたり、蛍光塗料による発光も失われたりします。こうして劣化した発光魚セイタカヒイラギの模型は、表面塗装をはがしてから新たな塗装を施して、より本物に近いメタリックな(金属光沢のある)模型へと修復されました。また、「深海の発光生物」の絵画パネルは、劣化によって柔軟性を失ってひび割れたキャンバスを、霧吹きで柔らかくしてから接着剤で貼り直し、蛍光塗料を塗りなおして修復しました。発光魚の発光器は細かく多数あるため、1枚の絵画修復には全工程で3日ほどの時間を要しました。

修復前のセイタカヒイラギの模型

修復後のセイタカヒイラギの模型

修復した深海の発光生物の絵画

休館と同時に自然観察会や講演会が中止や延期になり、そのための資料の準備の時間が他の業務に使えるようになりました。この時間を使って新しい展示物も作成しました。天神島ビジターセンターで好評をいただいている、おもに紙ねんどを使って製作したウミウシ類の手作り拡大模型の追加製作です。これまで展示していた20種に、新たに製作したコノハミドリガイ、キヌハダモドキ、リュウグウウミウシ、ヒメコモンウミウシ、サガミイロウミウシ、シラユキウミウシ、シラユキモドキ、ハナイロウミウシ、ヒメマダラウミウシ、ムカデミノウミウシなど10種を加え、30種のラインナップとなったウミウシ模型は、天神島ビジターセンターの展示ケースの中で、開館・公開の日を待っています。(海洋生物学担当 萩原)

ウミウシ模型30種のラインナップ

 

 

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